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「マーケター」という仕事が変わる。AI時代に伸びるのは"広告を作る人"ではなく"成長を設計する人"

AI時代に伸びるのは広告を作る人ではなく成長を設計する人

「AIによってマーケターの仕事はなくなるのか?」——2023年頃から何度も議論されてきたテーマです。文章はAIが書ける。画像も動画も広告コピーも作れる。市場調査もデータ分析もできる。WebサイトすらAIで作れる。ここまで来ると「マーケターは必要なくなるのでは?」と思う人が出てくるのも当然でしょう。

しかし2026年現在、海外で起きている変化を見ると、少し違う未来が見えてきます。マーケターが消えるというより、マーケターの仕事そのものが変わろうとしているのです。

「作ること」の価値が下がった

少し前まで、何かを作ることには大きなコストが必要でした。LPを作るならデザイナー・エンジニア・コピーライター。広告バナーならデザイナー。動画なら撮影・編集・ナレーション・制作会社。一つの施策を実行するために、多くの人と時間と予算が必要でした。

ところが生成AIによって、文章・画像・動画・コード・分析・調査を作るコストは大きく下がりました。

2026年8月にEU-Startupsが公開した記事は、この変化を興味深い視点で捉えています。誰でもアプリやコンテンツを作れるようになるほど、競争優位は「作れること」から「どう流通させ、どう成長させるか」へ移っていく。そして、その勝負を担う人は従来型のマーケターというより Growth Engineer に近くなっていく、という考え方です。

Growth Engineerとは何か?

直訳すれば「成長を設計するエンジニア」。もちろんプログラマーになるという意味ではありません。重要なのは、広告を作る人から、売上が伸びる仕組みを設計する人へ変わることです。

従来の流れはこうでした。

マーケター→広告を企画→制作会社へ依頼→LP制作→広告出稿→結果を見る

AI時代は、このループを高速で回せます。

市場データをAIで分析→顧客セグメント作成→複数の訴求案を生成→LP・クリエイティブを生成→配信→データ取得→AIで分析→改善案を生成→再配信

マーケターの価値は「広告コピーを一本書けること」ではなく、このループ全体を設計できることへ移ります。

90%がAIを試している。でも10%未満しか成果をスケールできていない

ここで非常に重要なデータがあります。McKinseyが2026年6月に公開したマーケティングとAIに関する記事によると——

CMOの90%がAIのユースケースを試している。しかし、マーケティング業務全体でAIをスケールさせ価値を獲得できている割合は10%未満。組織やワークフローを根本的に再設計しようとしている組織は28%。

この数字が示すのは、「ChatGPTを導入しました」だけではAI活用ではない、ということです。社員がChatGPTでメールを書く、議事録を要約する、広告コピーを作る——これだけなら個別作業の効率化にすぎません。本当に大きな変化が起こるのは、仕事の流れそのものをAI前提に再設計したときです。

キャンペーン型マーケティングが終わる?

McKinseyはこれからのマーケティングを、単発のキャンペーン中心ではなく continuous growth(継続的成長)として捉えています。中核となる能力は、インサイト・クリエイティビティ・パーソナライゼーション・エージェント型コマース・オーケストレーションの5領域です。

「春キャンペーンを作る、夏キャンペーンを作る」という世界ではなく——顧客データを常に取得し、AIが分析し、顧客ごとに体験を変え、結果を測定し、また改善する。マーケティングが一つの「イベント」ではなく、常時動いている成長システムになるという考え方です。

1人のマーケターが「小さなマーケティング部」になる

ここからは日本企業にも大きな影響があります。以前ならライター・デザイナー・広告運用者・動画編集者・データアナリスト・エンジニアが必要だったプロジェクトでも、AIを適切に組み合わせれば少人数でかなりの範囲を実行できます。

専門家が不要になるわけではありません。しかし一人あたりが扱える仕事の範囲は確実に広がります。すると企業が欲しがる人材も変わります。「Instagram広告だけできます」より、「顧客データを分析して、広告→LP→CRM→営業まで一つの仕組みとして改善できます」という人の価値が高くなる——専門作業を担当するマーケターから、事業成長全体を設計できるマーケターへのシフトです。

実例:Praxenは「1人+AI」でこのループを毎日回しています

抽象論で終わらせないために、うちの実例を書きます。Praxenは人間1人とAIの2人体制の会社で、マーケティングはまさにこの「Growth Engineer型」で運用しています。

人間側の作業時間は1日1〜2時間です。かつてなら5〜6人の分業だった範囲が、この体制で回っています。もちろん失敗も日々ありますが(その記録はnoteで公開しています)、「作る人を増やす」のではなく「ループを設計する」という発想に変えたことが、小さい会社でも戦えている理由です。

AI時代に必要になる5つの能力

  1. AIを使う能力——単なるプロンプトではなく、どの業務をAIに任せ、どこを人間が判断するのかを設計する力
  2. データを見る能力——AIが大量に分析してくれても、「何を見るべきか」を決めるのは人間
  3. 自動化する能力——広告・CRM・メール・営業・顧客管理をバラバラに使うのではなく、連携させる力
  4. 顧客を理解する能力——「なぜこの顧客は買ったのか?買わなかったのか?」という本質を考える力は依然として人間の仕事
  5. 事業を見る能力——CTRだけでなく、売上・粗利・LTV・CAC・継続率・営業効率まで見る。最終的には経営に近い視点が求められます

AIによって「人間の価値」がなくなるわけではない

むしろ逆です。AIによって作業が簡単になるほど、「何を作るのか」「誰に届けるのか」「なぜそれをするのか」という判断の価値が上がります。

100個の広告コピーをAIに作らせることはできます。しかし、どの市場を狙うべきか、どの顧客課題を解決すべきか、どの商品を伸ばすべきか——これは戦略です。AI時代に価値が下がる可能性があるのは「作業だけをする人」。逆に価値が上がるのは、AIを使って事業成果を作れる人です。

日本企業にとってはチャンス

特に中小企業には大きなチャンスがあります。これまでは、マーケティング部を作れない・デザイナーを雇えない・データアナリストを雇えない、という会社が大量にありました。AIによって、この人材不足を一部補える可能性があります。

重要なのはAIツールを買うことではありません。「どの業務を、どのAIと、どのシステムにつなげるか」を設計することです。2026年以降、企業が求める人材は「AIが使える人」から「AIで売上が伸びる仕組みを作れる人」へ変わっていくでしょう。

マーケターは消えません。ただし、マーケターという仕事の定義は変わります。広告を作る人から、コンテンツを作る人から、SNSを運用する人から——企業の成長システムを設計する人へ。AI時代のマーケターは、これまで以上に経営に近い仕事になるのかもしれません。

「うちの会社の成長ループ」を設計したい方へ

Praxenは1人+AIの自社実践で得たノウハウで、中小企業の「分析→施策→実行→改善」のループづくりを支援しています。
マーケ担当がいない会社こそ、仕組みから作るのが近道です。

無料で相談する(メール) 関連記事:マーケ担当がいない会社の集客術 →
【参考情報】
・EU-Startups「Marketing's AI evolution: from creativity to engineering」(2026年8月)
・McKinsey & Company「From campaigns to continuous growth: AI capabilities shaping marketing」(2026年6月22日)

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